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連載小説「黄昏と暁のみろく横丁」 shot.35

新たな法廷闘争の始まり (PART1)

平成二十八年十月八日に〈鳥将〉、十一月一日に〈そろそろ〉〈寿々〉が相次いでオープンした。夕方五時はもう薄暗い。開店祝いのセレモニーのため、屋台店主たちはみろく横丁の法被を着て中居の音頭と共に万歳三唱して門出を祝った。みろく横丁五期生は、半年遅れでやっと二十六店舗が揃い、本当の意味でのグランドオープンを迎えることができた。待ちわびていたお客様が、連日各店に吸い込まれていく。この日を一番待っていたのはもちろん三店舗関係者であり、そして中居であった。

中居はお祝いの言葉を餞ながらも、まだ手放しでは喜べない。相手方は、前訴において屋台村側がテナントの陳述書として提出した〈終了通知に関するアンケート〉はでっち上げだと主張して反訴するらしいことを知っていたからだ。Tら三店舗関係者は、北のグルメ都市代表取締役・中居と中居個人、アンケート提出した二十二店舗の店主等を被告として〈不法行為に基づく損害賠償請求〉を青森地裁八戸支部に訴え出た。

 私はこの九月からランチ店を一時休業することにした。スタッフが揃わなくなったのだ。暫定的に屋台村のヴィエントを昼十二時から営業することにした。過去、お店を長くやっていれば、いずれは私一人だけになるときも来るだろうと考えることもあったが、本当にただ私一人だけになってしまった。

十月七日の昼過ぎ、郵便局の女性が台車に郵便物を載せて重そうに横丁に入ってきた。台車には厚さ五センチくらいのA4版茶封筒が大量に積まれているのが見える。女性は、宛先を確認しながら一軒ずつ屋台を覗き込む。私は裁判所からの送達書類だな、とピンときた。彼女の苦労は徒労に終わるのが分かっていたので気の毒に思った。お昼のこの時間、他の屋台店主たちはまだ出勤していないのだ。書留扱いだから、夕方以降また再配達に来なければならない。

 夕方から夜にかけて、書類を受け取った店主らは騒然となった。まさか自分が裁判で訴えられることになるなど、思いもしないのが普通だ。人生で裁判沙汰に巻き込まれるという経験を持つ人はごく少数であろう。書類には次のように重々しく書かれていた。

「○○様

  事件番号 平成28年(ワ)第29号

  損害賠償請求事件

  原告 I他6名

  被告 有限会社北のグルメ都市

     外23名

 第1回口頭弁論期日呼び出し状

       及び答弁書催告状

           裁判所書記官○○

 原告から訴状が提出されました。

 当裁判所に出頭する期日が下記のとおり定められましたので、同期日に出頭してください。

 尚、訴状を送達しますので、下記答弁書提出期限までに答弁書を提出してください。

      記

  期日 平成28年11月15日(火)

     午前11時30分口頭弁論期日

  出頭場所 1号法廷

  答弁書提出期限

     平成28年11月8日(火)

出頭の際は、この呼び出し状を法廷で示してください」

       (続く)

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23isback | 2020-05-09 22:37 |
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