カートをみる ご利用案内 お問い合せ お客様の声 サイトマップ

 

連載小説「黄昏と暁のみろく横丁」 shot.67

判決  (PART2)

次に、不法行為があったかどうかという今回の重要な争点について、双方の主張が挙げられている。

原告・三店舗側の言い分は、九月テナント会で終了通知をしていないのに虚偽の事実を捏造したこと。無断譲渡などしていないのに、虚偽の事実を捏造したこと。この虚偽に基づいて提起された裁判は、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くこと。

そして、終了通知が行われた外形を作るために、虚偽のアンケートを作成させて証拠提出したこと。

以上により、不法行為が認められると主張した。

これに対し被告・屋台村側は、次の三点を以って不法行為の成立を否定した。

無断譲渡については、賃借権の譲渡を受けた旨の通知を受けたが、予め譲渡について承諾を求められていなかったから、そのように認識したこと。

前訴陳述書で提出したアンケートを除いても、契約成立の事実と終了要件充足の事実は裏付け可能であり、認容判決を得られると信じて提起したのだから不法行為を構成しないこと。

アンケートを作成した被告テナントの殆どは、明渡し請求に関して利害を有さない第三者だから、原告らを退去させる動機も特にないのでアンケートの信用性に疑いはないこと。

裁判所の判断は、まず不法行為の成否について検討されている。

九月テナント会で終了通知が口頭で成されたか否か。

「テナント会の配布資料には、終了通知に関する記載がない。アンケートに、一方で終了通知はなかったと記載した店舗があった。上野綾子ともう一人が署名捺印した陳述書(甲47・甲48号証)には〈アンケート記載内容は虚偽で、被告会社の従業員が内容虚偽の陳述書に署名押印するよう頼んだ〉と述べる部分がある。

本人尋問で上野は、口頭で終了通知を受けたと述べるものの、具体的な内容や通知の態様については曖昧な供述しかできていない。しかし、少なくともアンケートは他のテナントと話し合って、その時点での自らの記憶に従って記載したと明確に述べている。

更に、陳述書(甲47号証)は、〈これに署名押印すれば訴訟を取り下げる〉と言われてそのようにしたが、その記載内容は誤りであると明確に述べている。また、もう一人の陳述書(甲48号証)と一言一句同じ内容が印刷された書面にただ署名押印されただけのものであること等を併せ考えると、二通の陳述書(甲47・48号証)の記載内容は信用できない」

「テナント会配布資料には、当日実施される内容として七十項目も列挙されているのに終了通知に関する記載は全く見当たらない。

一方で次期テナント募集の申込みが、平成二十七年十月一日から開始されることからすると、その直前の九月テナント会で口頭説明があった可能性も否定できず、配布資料に項目がなかっただけで終了通知がなかったとまでは断定できない」

「もっとも、アンケートは丸を付したり、日付を記入するだけのもので、終了通知とされる口頭での具体的な説明内容や態様は明らかではない。一方で原告ら作成の陳述書(甲47・48号証)が存在する。

これからすると、九月テナント会に於いて口頭での終了通知がされたか否かについては真偽不明と言わざるを得ない」

裁判所は、終了通知はあったともなかったとも言えないという曖昧な判断を下した。

                                   (続く)

コメント

[コメント記入欄はこちら]

コメントはまだありません。
名前:
URL:
コメント:
 

ページトップへ