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連載小説「黄昏と暁のみろく横丁」 shot.70

裁判を振り返って (PART1)

明け渡し請求訴訟から始まった一連の裁判が終わり、得たものは何だったろうか。一回も欠かさずに公判を傍聴してきて、過去にいくつかの問題点があったことを私は感じた。

 契約が期間を区切った定期建物賃貸借という形態を取りながら、実際には更新の性質が色濃くあったことは否定できないだろう。屋台村開設当初の目的は、起業家の育成というチャレンジショップの意味合いが強くあった。三年で経営ノウハウを学び、街なかの空き店舗へ移転を果たし、中心街の賑わい創出に貢献するという狙いがあったはずだ。そのために三年間という期間を区切り、三年毎に店舗は総入れ替えをする予定だった。

 その目的は一部達成されてきたと言える。しかし、回を追うごとに出店希望者は減少の傾向にある。更に、屋台村での営業を続けたいという既存店舗の希望と、店舗継続を支持するお客様の声が相俟って、多くの店舗が三年毎にただ場所換えをしながら営業を続けてきた。初期から十五年に亘って続いている店も何軒かある。デベロッパーとしては空き店舗を屋台村内に作るわけにもいかず、出店継続に当たっては、希望すればほぼ適えられるという契約外の慣例も事実としてあった。

 一方で、契約はあくまでも三年間で終了し更新の性質がないわけだから、再契約のためにはデベロッパーの意向に沿った営業をしなければならないというプレッシャーが屋台店主にはあったはずだ。そこには〈選定する立場〉というデベロッパー側の驕りはなかっただろうか。契約は貸主・借主双方共に対等の立場にあるというのは法律上の建前論であって、契約締結に至るまでの主導権はデベロッパーにあり、借主である屋台店主は常に弱者の立場に置かれていただろう。

                      (続く)

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